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バロックパールの選び方

バロックパールの選び方

・バロックパールの相場

天然と養殖の相場の違い

バロックパールは、変形している真珠の総称であるため、天然バロックパールと養殖バロックパールの2つに分けることができます。相場は天然と養殖で大きく異なります。

普段目にしている真珠は、ほとんどが養殖で育まれた真珠です。自然の偶然による産物として育まれた天然真珠は、専門店など限られた宝石店でなければ、見ることが難しい品です。

天然と養殖の値段には、大きな差があり、養殖に比べ天然の方がとても高価な品です。美しい色で大粒な天然バロックパールは大変希少で、特にアンティークジュエリーなどは、ジュネーブのクリスティーズ・オークションなどで、数億円で落札されることもある、コレクターズ・アイテムになっています。このように希少な天然バロックパールの中でも、アワビ貝から採れるアバロニパールや、アメリカ産フェザーパールなどでは、少量ですが、専門店で目にすることができます。数十~数百万円の値段が付けられるほど高級な品物です。

対して、養殖バロックパールは比較的入手しやすい価格で販売されており、最も安い淡水バロックパールのジュエリーは、数千円から高いものでも数万円で買うことが可能です。

バロックパール相場表

バロックパールの相場表上図は、バロックパール相場表です。

比較的入手し易く、値段も安い養殖淡水真珠や養殖アコヤ真珠をはじめ、とても希少で値段の高い、アバロニパールやメロパールまでカバーした、バロックパールの相場一覧です。

・バロックパールのサイズ

バロックパールの特徴でもあるユニークな形は、普段使いでジュエリーを楽しんでいただけるアイテムです。また、真珠は上品で清楚なイメージがあるため、卒業式や披露宴などのセレモニーに参加する際も、お洒落にドレスアップできる人気のアイテムです。

しかし、バロックパールのサイズにより、その場に相応しくなくなることもあるので、気を付けたいものです。例えば、卒業式の装いといえば正装(フォーマル)ですが、大粒過ぎるバロックパールなどはカジュアル過ぎて、バランスが合わないこともあります。そのため、その場のマナーに合わせてサイズを選ぶとことをお勧めいたします。

・大粒(大きな)サイズ:
白蝶真珠と黒蝶真珠は、大粒なバロックパールをお選びいただけます。中でもオーストラリアの白蝶バロックパールは8mm~20mmの大きな真珠が採れることで有名です。15mm以上は、特大サイズと呼ばれ、とても希少で高価な品になります。黒蝶バロックパールは、7mm~18mmの大きさがあり、一般的には、9mm~13mm程が多く流通しています。

・小粒(小さな)サイズ:
あこや真珠と淡水真珠は、小粒なバロックパールをお選びいただけます。あこや真珠は、3mm~8mm程のバロックパールが一般的に流通しています。一方で、淡水真珠は、3mm~11mm程のバロックパールがあり、あこや真珠と比べれば少し大きめのものが流通しています。

バロックパールとケシパールの違い

・小粒のケシパール:
ケシ(芥子)と呼ばれる、小さく可愛らしい真珠があります。不定形な歪んだ形なのでバロックパールと間違えてしまいがちですが、ケシ(芥子)とは、真珠を養殖する際に、偶然の副産物として採れる無核の小さな真珠を言います。芥子の実のように小さいことから名付けられたものです。ケシ(芥子)の種類は、あこやケシ、白蝶ケシ、黒蝶ケシがあります。小粒で華奢な印象の人気のアイテムです。

・ケシパールのミニ知識:
ケシは核が無く、偶然に採れたので天然真珠と混同されますが、正確には養殖真珠と定められています。CIBJO(シブジョ・国際貴金属宝飾品連盟)では、「ケシは、真珠を養殖する際の副産物として産出する、小粒の無核真珠を表す日本の商取引用語で、無核の養殖真珠である」、と国際的に認めた真珠の一形態と定義づけています。

バロックパールのサイズ表

バロックパールのサイズ表

・バロックパールの形

バロックパールの不定形でユニークな形は、どのような種類があるのでしょうか。バロックパールの形は、大きく2つに区分けすることができます。

-形の区分け-

バロックパール

対称軸をもたない不定形の真珠を総称してバロックパールと呼びます。真珠の形は、ラウンドやセミラウンド、ドロップ(しずく型)、ボタンなど形により名称がありますが、それら以外の不定形の真珠をバロックパールと呼んでいます。バロックパールの中には、固有のネーミングを持つ形もあります。例えば、エンジェル・ウイング(天使の翼)、フェザー(羽)、ドッグ・トゥース(犬の歯)、タドポール(おたまじゃくし)、ブリッジ(橋)、ツイン(双子)などがあります。その名の通り、真珠の形がそのものに似ていることから、名付けられた珍しい形の真珠です。

セミバロックパール

不定形の度合いが少ない真珠をセミバロックパールと呼びます。セミバロックは、やや球体を残している真珠で、セミラウンドとバロックの中間の真珠を指します。

バロックパールなどの種類別一覧表

真珠は、貝類の生物によって形成されるため、形は種々多様です。バロックパールやセミバロックはもちろん、一般的な形を含む、真珠のさまざまな形をご紹介いたします。

・ラウンド   :丸い球体をした真珠の名称。ごく僅かな歪みはラウンドに含まれる。

・セミラウンド :ほぼ丸い球体だが、やや歪んだ真珠の名称。

・オーバル   :長円や楕円形の真珠の名称。

・ドロップ   :しずく型の真珠の名称。カット石のペアシェープと似た形を指す。

・ボタン    :ボタンのように、円形を押しつぶしたような真珠の名称。

・サークル   :真珠の周りに溝が取巻いている真珠の名称。鉢巻珠とも呼ばれる。

・トップ    :真珠の上部に粒状や皿状の突起がある真珠の名称。

・バロックパールの色

バロックパールは、真珠貝の違いにより5種類の真珠(白蝶真珠、黒蝶真珠、あこや真珠、淡水真珠、アワビ真珠)があるため、色も様々な色合いがあります。バロックパールの代表的な色は、ホワイト、グレー・シルバー、ゴールド、ブラック、グリーン、オレンジ、パープルの7種類があります。

バロックパールの色ごとにどのような真珠があるのか、下記の一覧をご覧ください。

バロックパールの形と種類の表
南洋真珠の色見本

ナチュラルカラーパールの色見本

ホワイト(白色)

白色のバロックパールは、他の色と比べ豊富な種類のパールがあります。あこや真珠、白蝶真珠、淡水真珠それぞれの特徴を見てみましょう。

・ホワイト(白色)あこやバロックパール

あこや真珠のホワイトバロックパールは、トップやタドポールの形をしたバロックパールが多く、また真珠のテリ(光沢)が綺麗なため、上品な印象で身に着けられるアイテムです。ジュエリーでは、バロックパールピアスや、バロックパールネックレスなどが人気で、サイズも小粒なので可愛らしい印象が特徴です。

・ホワイト(白色)白蝶バロックパール

白蝶真珠のホワイトバロックパールは、大粒でボリューム感あるサイズが特徴です。ボリューム感を日常でも楽しめるように、シンプルなひと粒ペンダントや、ロングのステーションネックレスでラフな感じで身に着けるなど、お洒落に役立つアイテムです。

・ホワイト(白色)淡水バロックパール

淡水真珠のホワイトバロックパールは、主に中国産とアメリカ産に分けられます。

中国産淡水真珠のバロックパールは、とてもリーズナブルな価格が特徴です。真珠の大きさも小粒な3mmから比較的大きな11mm程のサイズがあり、ピアスやペンダントはもちろん、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ロングピアス、ペンダントトップ、ノンホールピアス、ヘアアクセサリー、チャームなど、さまざまなジュエリーで楽しめるアイテムです。また、淡水真珠は、ルース(裸石)の状態で素材販売されているので、アクセサリーを手作りする場合など、気軽に楽しめる真珠です。

アメリカ産淡水真珠のホワイトバロックパールは、フェザーと呼ばれる羽状の形をしたバロックパールで有名です。上品なホワイトの色調と真珠光沢をもつフェザー状のバロックパールは、ジュエリーデザイナーやブランドに愛用され、形の特徴を生かした独創的なジュエリーに仕立てられることの多いアイテムです。

グレー、シルバー(銀色)

銀色のバロックパールは、あこや真珠と白蝶真珠の2種類のパールがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。

・グレー、シルバー(銀色)あこやバロックパール

あこや真珠のグレー・シルバーバロックパールは、その色合いから、とても落ち着いた雰囲気があり、不定形な自然のフォルムとの調和によりシックな装いのときや、卒園式や卒業式、葬儀などフォーマルな場所などに適したアイテムです。

・グレー、シルバー(銀色)白蝶バロックパール

白蝶真珠のグレー・シルバーバロックパールは、大粒でボリューム感もありますが、色合いが落ち着いているため、大人の女性にぴったりのアイテムです。存在感あるサイズと、シックな色合いの調和が美しく、ネックレスやロングネックレスで身に着けていただくと、とても綺麗です。

ゴールド(金色)

金色のバロックパールは、ゴールドリップ(白蝶貝の種名)から採れた白蝶真珠です。

・ゴールド(金色)白蝶バロックパール

白蝶真珠のゴールデンバロックパールは、淡い金色や濃い金色があり、その壮麗な色合いがとても豪華な印象をあたえる真珠です。パーティーや会食、披露宴など華やかな場に相応しい真珠です。ひと粒でも存在感があるため、ペンダントやリング、ブローチなどのワンポイントで身に着けると、エレガントな装いになります。ゴールデンバロックパールが連なったネックレスは、まさにゴージャスな印象になり、特別なファッションの時に着けるジュエリーとして最適です。

ブラック(黒色)

黒色のバロックパールは、黒蝶貝から採れた黒蝶真珠です。

・ブラック(黒色)黒蝶バロックパール

黒蝶真珠のブラックバロックパールは、黒いボディーカラー(実体色)のなかに真珠の深みのある光沢が見られる、とても美しい真珠です。落ち着いた印象があるため、日常のちょっとしたお出かけはもちろん、訪問着やビジネスフォーマルな装いにもマッチする使い勝手の良い真珠です。

グリーン(緑色)

緑色のバロックパールは、黒蝶貝から採れた黒蝶真珠です。

・グリーン(緑色)黒蝶バロックパール

黒蝶真珠のグリーンバロックパールは、深い緑色のボディカラー(実体色)の真珠です。また、テリ(照り)と呼ばれる緑色や赤色の真珠層の干渉色が見られる、大変美しい真珠です。この色の黒蝶真珠は、ピーコックグリーンと呼ばれ、その名の通り孔雀の羽のような色合いで、市場も高価な色として流通しています。

オレンジ(橙色)

橙色のバロックパールは、ヒレイケチョウ貝から採れた淡水真珠です。

・オレンジ(橙色)淡水バロックパール

淡水真珠のオレンジバロックパールは、明るい橙色の真珠です。オレンジの淡水真珠は中国で採れることが多く、リーズナブルな価格が特徴です。真珠の大きさも小粒な3mmから比較的大きな11mm程のサイズがあり、さまざまなジュエリーに使われています。

パープル(紫色)

紫色のバロックパールは、ヒレイケチョウ貝から採れた淡水真珠です。

・パープル(紫色)淡水バロックパール

淡水真珠のパープルバロックパールは、明るい紫色や濃い紫、淡いピンク色など色彩豊かなバリエーションを持つ真珠です。パープルの淡水真珠は中国で採れることが多く、他の淡水真珠と同様にリーズナブルな価格が特徴です。真珠の大きさも小粒な3mmから比較的大きな11mm程のサイズがあり、さまざまなジュエリーに使われています。

【関連記事】
『バロックパールとは』記事は→こちら

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参考文献

□宝石・貴金属大事典 近山晶著 柏書店松原株式会社 1982年

□ジュエリー シルヴィア・グラッシ・ダミアーニ著 MANDADORI 1998年

□真珠の知識と販売技術 小松博・増渕邦治・上村逍著 繊研新聞者 2002年

□真珠の世界史 山田篤美 中央公論新社 2013年

□PEARLS / A Natural History 「パール」展―その輝きの全て 窪寺恒己・齋藤寛・長谷川和範大日本印刷株式会社 2005年

□PEARLS/パール 海の宝石 ユベール・バリ 株式会社ブックエンド 2012年

□パール ワールドラボ 2015年 

□PEARL BUYING GUIDE  Renee Newman著 International Jewelry Publication 2017年

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